第16回「德川記念財団コンクール」家康賞柿澤

表彰活動

コンクール in 岡崎 第16回「徳川家康公作文コンクール」

家康賞(優秀賞)

「家康公のようなリーダーになるために」

岡崎市立竜海中学校3年  柿澤 絃彰 

 「あなたの好きな武将は誰ですか。」

そう聞かれたら、僕は間違いなく徳川家康公の名前を挙げます。戦乱に明け暮れていた天下を統一し、二百五十年余りも続いた泰平の世を築き上げた家康公が、僕は大好きです。

 僕は小学校三年生の頃から、家康公検定や新・家康公検定に挑戦し、自由研究でも毎年家康公について調べてきました。その中で、家康公は僕に人生で大切な事をたくさん教えてくれました。その一つが「信頼することの大切さ」です。仲間との信頼関係がうまく構築できていないと、物事は成功しないということです。

 家康公の仲間といえば、織田信長を始めとする多くの武将がいます。しかし、特に信頼関係が深かった人達といえば、家臣であり、友でもあった徳川家臣団、特に三河武士達ではないでしょうか。「海道一の弓とり」といわれた家康公と「最強」と恐れられた三河武士。この二つが互いを信頼し合える関係だったからこそ、家康公は天下統一という偉業を成し遂げられたのだと思います。

 三河武士の最大の特徴は、忠誠心が高いということではないでしょうか。三方ヶ原の戦いで家康公の身代わりとして討死した夏目吉信らを始めとする多くの三河武士達が、家康公の為に命をかけて戦いました。ここで僕が大切だと感じたのは、情けは人の為ならずということわざです。夏目吉信は、実は、三河一向一揆の時には一揆側として、家康公と対立したことがあります。しかし、家康公が一揆に味方した武士も全て許すことにしたため、再び徳川家臣団として活躍しました。もしも僕が家康公だったら、その場の感情に流されて、彼らを許すことはできなかったと思います。今まで信頼していたのに、急にたてついてきたら、絶対に激怒してしまいます。だから、家康公の、目先の事より先を考えて許すという行為には、感心させられました。日本の企業では、一度失敗をすると二度とチャンスが貰えない事が多いと聞きます。しかし家康公のように先を見据えて行動するならば、もう一度、失敗した人にもチャンスを与えてあげるべきではないでしょうか。

 三河武士には、率直に意見を言う人が多いという事も、よく言われます。自分勝手な人が多いという印象もあるかもしれません。しかしこれは、裏を返せば自由に発言できる環境が整っているということであると思います。家康公も人間なので、必ず判断ミスはあると思います。しかし、家臣達の誰にも遠慮しない率直な意見があれば、より正しく判断を下すことができると思います。僕は最近、大阪府知事や大阪市長を歴任された橋下徹さんの、『実行力』という本を読みました。その中で橋下さんは『「最後は従う」を守ってもらうと、多様な意見を取り入れられる』と言っていました。家康公の考えに反対意見を言う家臣達も、家康公のことは信頼しています。だから、最終的に自分の意見が通らなくても、信頼する家康公の判断に従うことができたのではないかと思います。自由にものを言う文化は、お互いへの信頼関係の上に成り立っていたのだと気づきました。

 家康公は、周りから信頼される優れたリーダーであることが分かりました。では、僕がこのようなリーダーになるには、どうすればよいのでしょうか。

 まず一つ目は、優しさを持つことです。自分の思い通りにいかなかったり、誰かが失敗しても怒らないようにします。その場の感情に振り回されず、冷静に周りの状況を把握できるようにします。

 二つ目は決断力です。今まで僕は、優柔不断で決断を遅らせてしまうことがよくありました。最後に決断をするのはリーダーです。そのリーダーが優柔不断だと、周りの人は信頼してくれません。だから、決断は素早く、明確にするようにします。

 今までの自分より、もっともっと上へ進んでいけるように頑張ります。空の上から家康公が見守ってくれていると信じて。