財団について ご挨拶

財団について

理事長 ご挨拶

  公益財団法人 德川記念財団  理事長 德川 家広

 

 当財団は、德川宗家(旧将軍家)より、伝来の歴史資料・文化財を受け、これを保存・修復・公開し、あわせて江戸時代の日本に対する内外の理解を深めることを目的として、江戸幕府の開設400年にあたる2003年に発足いたしました。

 江戸時代は長い日本史においては、つい最近のことでもありながら、その一方で昭和の大戦の戦禍を経て当時の名残を感じさせる風景が失われたということもあって、かえって今日においてはその理解が混乱しているというのが、私どもの認識です。今日に至る研究の蓄積を尊重しつつ、新しい優れた業績の顕彰、若き学究の支援を通じて、少しでも裾野を広げ、それによって日本人、ひいては世界の江戸時代、トクガワ・ジャパンに対する理解を深め、当時を生きた人々に対する現代人の共感が募れば、私どもにとりまして、望外の喜びでございます。また、そのことが混迷を深める今日の世界にあって、良き指針を提供してくれるということも、私どもの確信するところであります。

 このような志を持つ当財団ではございますが、歴史の浅い小さな組織とあって、力不足の場面も多々あると思われます。至らない点につきましては皆様にご寛恕いただき、さらにご支援を賜ることが叶えば、これに勝る喜びはございません。

 

名誉理事長就任のご挨拶
                                     德川 恒孝

 早いもので、当財団が発足してから今2021年で18年となります。今の日本では18歳で選挙権が与えられることになっていますから、徳川記念財団も成人したと言ってよいのかもしれません。それだから、というわけではございませんが、財団のリーダーシップにおいても若い世代へのバトン・タッチが必要だと私も判断するに至り、今年の6月末日をもちまして、理事長職を退き、それとともに新たに設置した名誉理事長の職に就いて、新体制となった德川記念財団の今後の発展を見守っていくという決断を致しました。これまでの皆様のご支援、ご鞭撻に、あらためまして心よりの感謝を申し上げるとともに、德川家広新理事長のもとでの德川記念財団に対しても、従来にも増してのご高配を賜りますことを、お願い申し上げます。

 当財団は、日光山輪王寺宝物殿、久能山東照宮博物館の両所において、財団所有の文化財、歴史資料の常設展示を行うとともに、東京都江戸東京博物館をはじめとする全国各地の博物館、美術館において、主催・共催・特別協力・出品協力など、様々な形態で展示活動を行って参りました。このような活動を実現するべく努力を重ねてこられた運営者各位、学芸諸氏に、厚く御礼申し上げます。

 また、財団設立とともに始め、今日に至るまで継続している德川賞の選考委員をお勤めいただきました諸先生には、特段の謝意を捧げたいと思います。毎年の選考会で先生がたの真剣で熱心な議論の場に同席いたしましたことは、私にとって学問の厳しさを肌で感じる、本当に心に沁みる経験でした。