第18回「徳川賞」

表彰活動

第18回「徳川賞」

第18回の「德川賞」は下記の著作を受賞作とすることに決定し、令和2年11月3日(祝)寛永寺にて授与式を行います。

近世貨幣と経済発展
著者:岩橋 勝
発行:名古屋大学出版会

近世畿内近国支配論
著者:村田 路人
発行:塙書房

前者は、流通貨幣(金銀銭)中の“銭”の比率を分析研究。江戸中期から後半にかけて銭の比率が30%から50%に高まった経済的背景を論じた、目からうろこの経済史研究作品。
後者は、大藩ではなく、多くの中小大名領や寺社領などで出来上がっていた関西畿内の領国運営を著者は長く研究、本書はその成果をまとめた1冊。著者の研究姿勢を含めて史学研究の王道と、審査員一致の作品。
共に甲乙をつけがたく、今回は2冊の受賞となった。

選考過程

令和2年7月に第1回選考委員会を開催し、対象期間である令和元年に刊行された日本近世に関する著書より、次の9点を第二次候補に絞った。

書名 著者 出版社
『近世貨幣と経済発展』 岩橋 勝 名古屋大学出版会
『カピタン最後の江戸参府と阿蘭陀宿』 片桐 一男 勉誠出版
『近世の村と民衆運動』 白川部 達夫 塙書房
『書籍文化史料論』 鈴木 俊幸 勉誠出版
『近世甲斐国社家組織の研究』 西田 かほる 山川出版社
『近世畿内の豪農経営と藩政』 萬代 悠 塙書房
『 幕末維新期の洋学と幕臣』 樋口 雄彦 岩田書院
『 近世大名家臣団と知行制の研究 』 藤谷 彰 清文堂出版
『近世畿内近国支配論』 村田 路人 塙書房

これらを審査員5名が分担・精読し、9月16日の第2回選考委員会において、以下の3点が残った。

『近世貨幣と経済発展』  著者: 岩橋 勝  発行: 名古屋大学出版会

『 幕末維新期の洋学と幕臣』  著者:  樋口雄彦  発行:岩田書院

『近世畿内近国支配論』  著者: 村田路人  発行:塙書房

第18回「徳川賞」 選考要領

1.選考対象
(イ) 平成31年1月1日より令和元年12月31日までに日本語にて刊行された、日本近世に関するすぐれた研究著書
(ロ) 日本近世の範囲は徳川時代を中心に、織・豊時代および明治初期を含むものとする
(ハ) 日本近世における政治・経済・行政・外交・生活・文化・思想・芸術・宗教・教育・建築・医学・言語等全分野および周辺分野、またはこれ等多くの分野を横断した総合的な領域についての実証的かつ顕著な研究成果の著書
(ニ) 編纂書・注釈書・辞書・調査報告書等は含まない

2.選考委員(敬称略)

委員長 高埜 利彦 学習院大学名誉教授・日本学術会議連携会員
委員 大石 学 東京学芸大学名誉教授・日本芸術文化振興会監事
  榊原 悟 岡崎市美術博物館館長・群馬県立女子大学名誉教授
  佐藤 孝之 東京大学名誉教授
  田代 和生 慶應義塾大学名誉教授・日本学士院会員

3.表彰

德川賞 賞状ならびに副賞100万円