第7回「徳川記念財団コンクール」家康賞柿崎

表彰活動

コンクール in 静岡 第7回「徳川記念財団コンクール」

家康賞(優秀賞)

「今、家康公の生き方から学ぶこと」

静岡市立東豊田中学校3年  柿崎 寛人

今、私達は新型コロナウイルスの影響で、さまざまな活動自粛や行動制限など、自分のやりたいことや行きたい場所があってもまだまだ我慢の毎日が続いている。修学旅行の延期、合唱祭の中止など、私達の学校生活にも大きな影響が出ている。しかし、昨年春の休校期間中と比べれば、登校できるだけでも有り難いと思っている。

一人で家にいる孤独感や友達に会えない寂しさ、外に出られないストレスなどでとても辛かった休校期間中に、駿府で人質時代を過ごしていた家康公のことがふと頭に浮かんだ。そして、「家康公ならこの試練をどう乗り切るだろうか」と思った。家康公は、幼少期から人質としての生活を余儀なくされていた。当時は、北条氏や武田氏の人質から冷たい仕打ちを受けていたそうだ。人格がつくられる大切な時期ということもあり、ときには人間不信になったり、思うようにいかずストレスを抱えて生活していたりしたかもしれない。そんな中、常に周囲をよく観察し、五感を働かせながら生活していたに違いない。家康公は、人質時代の苦労を乗り越え、体だけでなく心も鍛えられたことで、その後の人生を大きく切り開くことができたのではないだろうか。私は、今こそ家康公の「忍耐力」を見習うべきだと思った。どんな環境下でも、太原雪斎の教えや己の努力でたくましく成長していった家康公。そんな家康公の生き方から、私達は強い心の鍛え方についても、学べそうな気がする。緊急事態宣言が解除されたら、「忍耐」の原点となった臨済寺に足を運び、家康公の幼少期に思いを馳せたいと思う。

もう一つ、コロナ禍において強く思ったことがある。それは、「自分の健康は、自分自身で守らなければならない」ということだ。どんなに医療が進歩しても、医療崩壊は起こるということや、病院で診てもらえない状況にさえなるということを毎日のニュースで知り、とても不安になった。改めて「健康が一番」と思ったこの瞬間も、私はまた家康公のことを思った。人一倍健康に気を遣っていたことで有名な家康公。粗食を常とし、一汁一菜主義だった。また、食事内容もさることながら、駿府御薬園という薬草園で、自らの体調に合わせた薬草を栽培し、それらを調合して飲んでいたそうだ。家康公が生きていた時代に、こんなにも自分で健康管理をしていた武将が、他にいただろうか。また、近年の緑茶ブームで、清水港からの緑茶輸出高が増えてきているという記事を新聞で読んだが、家康公はその当時からお茶も愛飲していた。お茶の効能が分かるはるか昔から、家康公は緑茶が健康にいいことも分かっていたのだろうか。「飲んだらわかる」と家康公の声が聞こえてきそうだ。私は、静岡のお茶が大好きで、毎日飲んでいる。これから家康公を見習い、自分の健康は自分で守れるよう、運動や食事、睡眠に気を配って生活したいと思う。

この夏、日本では、東京オリンピックが開催された。色取り取りの国旗を手に、世界中のアスリートが東京に集結した。開・閉会式で、多くの花火が次々に打ち上げられた瞬間にも、こう思った。「もし、家康公が生きていたら、何と言っただろう」と。コロナ禍でも世界中の人々がこの地に集まり、スポーツの祭典が無事開催できたことを「あっぱれ」と言って喜んでくれたのではないだろうか。家康公も、朝鮮との国交回復に力を注ぎ、清見寺で朝鮮通信使一行を歓迎したことで知られている。外国とのつながりを大切に、広い心で精いっぱいのおもてなしをしたに違いない。

家康公の生き方を知れば知るほど、今を生きるヒントがたくさん隠されている。私は、家康公のおかげで、歴史を学ぶことが大好きになった。これからも、家康公が愛した静岡で生活できることを誇りに、学んだ歴史を今に生かせる人間になりたいと思う。