日光山輪王寺宝物殿　展示

2014年2月7日（金）〜4月9日（水)
�ｺ川宗家ゆかりの雛人形

　雛祭りは、3月3日に女の子の健やかな成長を祈って行う行事で、特に女の子が誕生した初節供には、雛人形を飾ることが現在の風習となっています。雛人形の原型は、「曲水(ごくすい)の宴(うたげ)」と「ひひな遊び」に見られます。曲水の宴は、古来の宮廷行事で、3月3日に祓の道具として贖物(あがもの)と称する人形(ひとがた)に自分の罪を託し、人形を肌身に摺りつけ、息を吹きかけて水辺に流すという風習です。ひひな遊びは、幼女が可愛らしい人形で遊ぶ行事があり、初めは紙人形でしたが、次第に布の衣装を着せた人形で遊ぶようになりました。江戸時代になると、その2つの風習が結合して、雛祭りや雛人形が誕生しました。現在のように、雛段に人形を飾ったのは、徳川家康の孫で、後水尾天皇に入内した徳川和子(まさこ)（東福門院）が初めてと言われています。正保元年（1644）に、老臣らが徳川家光の長女千代姫に雛人形を贈ったとされ、以後大奥では、女の子が生まれる度に雛人形が贈られるようになりました。11代将軍家斉の代は、子女が多かったことから、膨大な雛人形が大奥にあったとされている。

　江戸時代初期には、室町雛・寛永雛という小振りの雛人形が一般的となりました。それが次第に大名や庶民へと普及すると、雛人形の製作が多様化し、流行性が加味されるようになりました。享保雛は、それまでの雛人形とは違い、大型で華やかなものが流行りとなりました。一方で、公家の装束を考証して、衣紋道(えもんどう)の山科家・高倉家が認定した有職雛(ゆうそくびな)やそれを受けて写実的な町雛である古今雛が生まれ、現代の雛人形のルーツとなっています。また、女性の輿入れ道具としても用いられました。

　現在、�ｺ川宗家には、侯爵細川護立((もりたつ)（旧熊本藩主細川家）の次女で伯爵寺島宗従(むねより)（寺島宗則孫）に嫁いだ雅子様と、�ｺ川宗家に嫁いだ幸子様（寺島宗従・雅子長女）所用の雛人形があります。今回はその一部をご紹介します。

公益財団法人　�ｺ川記念財団